列の割り込みに関して言えば、やった人間は翌日には忘れているかもしれないが、やられた人間は、場合によっては、10年たっても覚えているだろう。
ここで「10年もそんなことを覚えている奴が果たしているのか?」と、思われた読者の方もいるかもしれない。
そんなことを覚えている奴はここに存在する。
実をいうと、ボクは10年間忘れていないのである。もう根に持っているわけでもないが、決して忘れていないのだ。
それは、おおよそ10年前のことだった。
ボクは、とある行列に並んでいた。今は無き、秋葉原某電気屋の7Fで催されていた、2018年秋に久しぶりのライブを行った某アイドルユニットのイベントに参加するため、外で座席抽選の行列に並んでいたのである。
前には、おじさんのオタクが十数人並んでいたが、ボクも割と前だった。
早く抽選が始まらないかなどと心待ちにしていたら、帽子とマスクを着用した、身長が低く細身の、明らかにかわいい女性が颯爽と現れた。
この女性は良く現場に現れたものだから、ボクも、チラチラみながら気にしていたのであった。
彼女というのは、のちに某ソロアイドルを経て、グループアイドルを結成し今でも活躍している、ドルオタだったら名前を知っている人も多そうな子だったのである。
「(はぁ。かわいいなぁ。。。)」と、視姦をしていたら、なんと前方にいたおっさんオタク2~3人が親しげに彼女に声をかけだした。彼女も、フレンドリーに応対していた。
その刹那である。彼女は、列に割り込んでしまったのである。
・・・当時の憎悪についていえば、10年たった今でも忘れていない。今は恨んでもいないけど。。
しかし、その時の憎悪というものが、果たして、純粋に列の割り込み行為そのものに対しての怒りから来ているのか、かわいいナオンと、例え金銭が目的だとしても繋がりがあるおじさんオタクに対しての妬みから来ているのか、それは定かでないのである。
今振り返ると、例え、金目当てだとしても、かわいいナオンと繋がりのあるおじさんオタクという存在は、自分にとって夢の1つだったのかもしれない。
そんなしょぼい夢は、10年後に無事、果たされることになる。
金銭を仲介すればナオンと繋がることが出来るおじさんオタクになったことを思えば、クレジットカードリボ残債の100万や200万など、とるに足らない金額だと思いませんか?
とにかく、彼女が列を割り込んだことについては、ボクはいまだに覚えているのだ。