禁食欲生活 56日目(Tinder) #冴えボク

画面を左にスワイプし、次々続々と登場する顔面にいいねを繰り返す太った男は、目が回ってきた。マッチングはしない。段々とそれは、湖に石ころを投げ続け、いつしか島が出来上がるのを期待するのと同じ作業のように感じる。苦行に耐えきれなくなった男は、とうとう街に繰り出し、リフレの呼び込みをしている女性の目の前をわざと通り過ぎ、目を合わせ、「ちょっとの時間だけ」問答を経て、謝罪ののちに立ち去った。