冴えないボクの生(性)活

2ちゃんねる大学生活板出身の冴えない男の駄文。

強者男性薬

 和久田未来(わくたみらい)は、地下アイドルHちゃんと繋がることに成功し、今日はおデートの日だった。つまり、アフタヌーンティーなるものをすべく、お台場ちかくの商業施設内1Fで待ち合わせしていた。ロビーのソファに腰掛けて時間まで待つが、一向に来ない。彼のそばには、テンガロンハットを被り、茶色いコートを羽織った、身長175センチ程度の中年と思しき男性が立っていた。ここで嫌な予感がした。彼は、いま噂の繋がり警察では無いのか。大体、自分宛に、インスタグラムでダイレクトメッセージが来て、相談したいことがあるなぞと話を持ちかけられたの、あまりにも虫が良すぎるだろう。これは、自分を出禁にするための運営の罠なのでは。

 ヒヤヒヤしながらも、彼は希望を捨てることはなく、待っていた、30分くらい待っていたが、Hちゃんは来なかったし、テンガロンハットの男は、謎の美女と合流してホテルにチェックインしてしまったので、どうやら繋がり警察ではなかった。結句のところ、Hちゃんが来ないことに真底ホッとしていた。アフタヌーンティーなるものは予約していたので、根がたいそう生真面目に出来ている和久田は1人で入店し、紅茶を飲みながら仰々しい小さなケーキやマカロンをパクついていた。周りのマダムやカップルからは、不審な目で見られていたが、仕方がなかった。

 その刹那、どこからともなくドラクエのレベルアップ時に鳴るようなファンファーレが鳴り響いた。「パパパン!パパパーン!」「おめでとうございます!合格です!和久田殿!あなたのような真面目な方をお待ちしておりました!」いかにも紳士といった雰囲気のウエイターと、それに、Hちゃんも目の前に現れ、ちょっと意味が分からなかったが、どうやら、彼は製薬会社の開発部長らしく、日本の少子化を食い止めるため、真面目でモテない弱者男性を、クズ男であるが女性とセックスできる強者男性に変える薬を開発しているらしかった。Hちゃんはその助手らしかった。紳士といった雰囲気の男は、奇屋不手黒男(きやふてくろお)と名乗った。彼は、弱者男性を強者男性に変える薬、通称「ストレングス」実験台1号として、和久田を選んだのだった。黒男から渡された「ストレングス」を1錠飲んだ和久田は、みるみるうちにナンパ体質になり、なんと、その場にいた、アフタヌーンティーを楽しむ50代のマダムを口説き、キスをしてしまった。その瞬間、嫉妬に怒り狂ったHちゃんは、包丁で和久田を刺殺し、彼は36歳にて、死亡してしまった。Hちゃんは、和久田のことが、薬を飲む前から、実は好きだったらしかった。